おすすめ漫画!平方イコルスン『スペシャル』は異次元の面白さ【トーチweb】

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こんにちは、バキ子@bakikomanです。

またグラグラと心を揺さぶられるマンガに出会ってしまった・・・・

平方イコルスン先生の「スペシャル」という漫画です。

うまく説明できないんですけど、

凄くいい。

リイド社のウェブ漫画サイトトーチwebで連載されているので、ところどころ無料で読めるんですが、単行本になってからまとめて読むとヤバいですね。

いつなんどきもヘルメットをかぶり続けている女子高生・伊賀は怪力の持ち主で語彙に乏しい。
そんな彼女がすごす高校生活、怪力すぎるがゆえの悩みを抱えたり、スルーしたり、恋をしたり…
平方イコルスン高校で巻き起こる青春群像劇、独特なセリフ回しで絶賛開校中!

楽しく気楽に読めるのに、後に深い余韻が残る不思議なコミックです。




登場キャラクターのキャラ立てが魅力

登場人物はキャラが濃すぎてシュルレアリスムの領域に入っています。

いつなんどきもヘルメットをかぶり続ける怪力少女。

ガソリンの匂いフェチの眼鏡少女。

教室に炊飯器を持ち込んでご飯を食べる富豪の娘。

・・・・を、観察するフツーの少女。

などなど。

このキャラの立て方、凄いなぁ・・・・

奇抜過ぎないように、ちょっとだけ「変」な感じを足しているところがニクイです。

ギリギリ「ちょっとわかる」というツボを押さえているから離脱しそうでしない。

まるで田舎の異星人の学校生活を覗き見しているかのような不思議な感覚が味わえますね。

地球人とは思えないwww

基本的にツッコミは無く(あってもあまり会話に影響しない)、この世界の住人の奇妙さ・奇天烈さはある程度フツーのこととして描かれています。

その作者の目線が暖かくて優しい。

個性で差別しないで「この子はこうい子だから」「そのままでいいんだよ」という寛容さを感じずにはいられません。

日常の「ありきたりな会話」を変換する面白さ

『スペシャル』が他の漫画と決定的に違うのは、セリフ(言葉)の妙。

劇中のセリフがかなり変わっていて読みごたえがあります。

この漫画を読んでいて凄く共感してしまうのは、

私たちの日常はもう「ありきたりな会話」にとどまれない

という感覚。

日常は日常としてそこにあるものだから、そうそう大きな変化はありません。変化があったとしてもそのスピードは緩やかだし、日常というのはルーティン(きまりきった作業)に感じられる部分もありますよね。

でも、そのルーティンは、言葉使いやニュアンスややりとりする「意味」をちょっと入れ替えるだけで、途端に真新しいものにすることが出来る。

例えば「友達に感謝の気持ちを伝える時はこんなふうに」の正解例。

もっと噛み砕いて言うと、目線をちょっと変えるだけで、ありきたりな日常がこんなにも新鮮に感じられるんだ、ということですねw

これって人生を楽しく愉快に過ごす大事なコツではないかと思います。

私には、漫画『スペシャル』にはそのコツが見事に表現されているように感じられるのです。

平方イコルスンの漫画はひどく中毒性がある

私もトーチwebでさらさらっと流し読みした時は、それほどの感銘は受けなかったんですよ。

それが、アマゾンで単行本になっているのを見かけて(絵がけっこう好きだったので)戯れに購入してみると、深くハマりこんでしまいました。

一巻まるまる読み通してみて、すっかりファンになってしまいましたね。

この中毒性は、宮崎夏次系さんの漫画とどこか似ているように思います。

このお二方の漫画家さんに共通するのは、乱暴な言い方をすると

この作家が描いている作品ならなんでもいいや

と思えてしまうところですねw

 作家さん自身に対する信頼感 で購入して読んでしまうところ。

おかげでお小遣いがいくらあっても足りないですよ

(^▽^;)

漫画『スペシャル』は日常系マンガの最先端だと思う

こういった日常系漫画の特徴って、ストーリーや設定はあまり重要ではなくて(ストーリーに意味を持たせない)、キャラクター同士が理解できる「意味」のやりとりと関係性にスポットを当てている点なんだと思います。

同じ感覚はあずまきよひこ先生の『よつばと!』なんかを読んでいても感じますが

平方イコルスンの『スペシャル』はそこをさらに捻って、完全なユートピアを描きつつ、そこに現実的な疑問も投げかける、というかなり高度な作りになっています。

個人的にこの漫画家さんの美意識や言葉のチョイスには、深く共感するところがあって大好きですね。あと、全体的に「みんな仲良く」という理想が根底に感じられるところが読んでいて安心できます。

作中のキャラクター達は、個性的ではあるけど、みんなどこか大人です。空気は読まないけど秩序は守る、みたいな。

ホットすぎず、クールすぎず、天真爛漫なわけでも世を儚んでいるわけでもない「そつのない」子どもたち。それがそのまま今の現実の私の写し鏡のようにも見えてゾクッとした次第ですw

ちょっと風変わりな、でもほのぼのした日常系マンガが読みたい人にはおすすめです。

シュルレアリスムが好きな人も面白がれるかも。

以上、平方イコルスン『スペシャル』の個人的感想でした!