夢と現実の同時体験?panpanyaというシュールで特異な漫画家についての一考察

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こんにちは。

いつか語ってみたいな、と思いながらも、

なかなか記事にできなかった

panpanyaさん

の漫画作品についてちょっと書いてみます。

なんでずっと書けなかったのか?

ようするに、

好きすぎて

言葉が見つからなかったんですよね。

(´・ω・`)

捉えどころのない、

シュール&ナンセンス

な短編が多いので、

魅力をうまく言語化できないんですよ。

でもやっぱり好きなので、がんばって書いてみます。

panpanya作品に興味のある方はお付き合い願います。

\(^o^)/




「このマンガがすごい!」の常連作家・panpanya

漫画家・panpanyaさんは2013年に商業誌デビュー。それ以前からも、自身のwebサイトや同人誌即売会「コミティア」で作品を発表していたそうです。

私が存在を知ったのは2014年に白泉社から刊行された「蟹に誘われて」。

たまたま紀伊国屋をウロウロしていたら衝撃の出会いをしました。

装幀がまた魅力的で・・・・

いちげきで好きになりました。

「このマンガがすごい!」でもたびたび話題になったりランキングされている作家さんですが、なぜこれほど騒がれるのかというと、昨今、こんなマンガを書く人がほかに見当たらないから。

panpanya作品を語る上でよく耳にするキーワードはいくつかあります。

・夢のよう

・不条理かつコミカル

・幻想的

・リアルな背景

・魚介類

・シュルレアリスム

・キャラがかわいい

・ちょっと不気味

・芸術性が高い

個人的には「ユーモラスな悪夢」という感じがしています。

西欧のアニメーション作品と日本のギャグ漫画をかけ合わせたような、不気味さとユーモアが同居した不思議な世界観。

短編作品が多いので、AmazonなどのKindle版で試し読みをするとどんな作家さんかすぐにわかります。あなた自身が好きか嫌いか5分でわかるのでリトマス試験紙的にどうぞ。

私はシュルレアリスム大好きなので、
絵柄を見ているだけでもうっとりしてしまう・・・・

業界内評価が高く、少々マニアックなマンガファンからの支持が熱い、クロウト好みの作家さんと言えるかもしれません。

作品のコンセプトが個性的で類を見ない

すごいのは1ページ開いただけで

「ああ、これはpanpanyaの世界だ」

とすぐに認識できるところ。

いちばんの特徴は、綿密な書き込みが施されたリアルタッチな背景の中に、単純な線で書かれた可愛いキャラクターがぽつんと存在している独特の絵柄。

まるで現実世界にいたずら書きのキャラクターが迷い込んできたような印象を受けます。

「登場人物をいかに魅力的に表現するか」に重きを置いた漫画の本流に比べると、真逆と行ってもいいくらいの違いがありますね。

でもこれはきちんと計算で成り立っているんですよ。

デザインのコンセプトがびしっと決まっていて、ブレないのです。

どのページにもしっかりと美的こだわりがあり、思想がある。

署名なんか無くても「panpanya印」がしっかりと押されている。

緻密な背景と、

ラフなタッチの漫画絵キャラ。

この2つのギャップが最大の魅力で、おそらくどちらかだけだと重くなりすぎたり、スカスカになりすぎたりして読む手が止まってしまいます。

でもタッチの全く違う2つのオブジェクトが同時に誌面おさまると、得も言われぬ不思議な「美」が生まれるんですよね。

これは小説で言うところの「文体」のようなもので、作家はだいたいこの「文体」を確立するのに四苦八苦します。いわば「自分のスタイル」の模索。

ストーリーよりもなによりも、まずは「どう描くか」を決めないといけない。

で、おそらくpanpanyaさんも試行錯誤をしたのでしょうね。

線の書き込みの度合いを調整したり、コマごとに強弱のバランスをとったり。

そうすると、そのコマで何を第一に見せたいのか、プライオリティを選択することになります。

背景や物体を緻密に描いて強調するのは、いわば「ここ見てネ!」という優先順位を作者側が丁寧に誘導する手法。

いちファンとしては、おそらくその「ここ見てネ!」のセンスが抜群なのかな、思います。強弱がはっきりしていて、読んでいて心地よいリズムなのです。

そうした模索の中から自分のスタイル・強みを選んで、ブラッシュアップしたものがこの作品世界なのだと思います。

panpanyaと水木しげるの共通点

以上のように、panpanyaさんはとても個性的で目立つ作家さんですが、ちょっと近いかな、と感じるのは「ゲゲゲの鬼太郎」でおなじみの水木しげるの漫画作品。

水木作品も徹底的にリアルで綿密な背景世界に、漫画のキャラクターを配置している、という共通点があります。

鬼太郎はあくまで少年誌向けの妖怪退治モノであり、ストーリーが主軸になっているのでそれほど背景が話題になることは少ないですが、背景へのこだわりはひしひしと感じられます。

対して、panpanya作品の背景にはそこまでのこだわりは無くて、インタビュー記事で述べられているとおり、「必要性に応じて」書いているようです。

これが上記で触れた「画面の強弱」「バランス感覚」ということではないかと思います。

濃い背景のカットがあったかと思えば、次のコマは背景なしのシロのみ。

こうして強弱をつけることで、読者は緊張したり息を抜いたりして作品世界に入り込みやすいんじゃないかな。そういう細かい工夫に思えます。

夢と現実には境目がなく、同時存在している?

panpanya作品の中で、主人公の女の子(?)は現実なのか夢なのか判然としない白昼夢のような世界で、日常生活と、日常から逸脱した冒険のどちらも体験します。

つまり、境目が無い。

「夢と現実を行き来する」というよりも、むしろ「もともと夢と現実がクロスしている世界を散歩する」というほうが近いような気がします。

その意味では「ファンタジー」というよりも「シュール(シュルレアリスム)」な世界観に近しい雰囲気で、現実からの逃避ではなく現実の強調・拡張化を表現しているように思えるのです。

シュルレアリスム的な世界に迷い込んでも、主人公はツッコむわけでも拒否するわけでもなく淡々と受け入れ、ときには楽しんでさえいます。

だから折につけ、つげ義春のシュール系の漫画作品と比較されるのも頷けます。

雰囲気は確かに似ている。

つげ作品は不条理さ・不気味さのほうが目立っていてユーモアがわりと抑え気味ですが、panpanyaさんの作品は7:3くらいの割合でユーモアの比率が高い印象があります。

登場キャラクターが可愛らしい

というのがミソで、これがユーモアを補強している大事な要素のひとつであることは間違いない。作品世界の闇はけっこう深いのに、キャラクターの軽さがその闇をうまく和らげてくれている感じがします。

現実と夢は単純に分けられるものではなく、時には折り重なって同時存在してしまう場合もある・・・・というささやかな主張があるのかな。

登場する素材一つ一つは日常に目にするものばかりだし、難しい言葉も使わない。

なのに、組み合わせと表現方法次第でこんなに新鮮に読者の目に映るのです。

凄いわ・・・・

( ;∀;)

真のクリエイターってこういうことじゃんね?

といたく感心した次第です。

うーん、まだあまりうまく語れてないなぁ。

とにかくpanpanya漫画を未読の方は是非!

ストーリー性を重視した作家さんではないので、どの本から読んでもイイと思います。

ほとんど短編なので、好きなの選んでパラパラと短時間で楽しめますよ!

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