女性作家による【名作ゴシックロマン/ミステリー】おすすめ小説10選!

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こんにちは、海外ミステリーファンのバキ子@bakikomanです。

今回は海外の女性作家による「ゴシック小説」のおすすめをセレクトします。

女性作家特有の繊細な表現や粘着質な心理描写が好きで、ゴシック小説に限って言えば、男性の書くものよりは女性が書くものが好きです。

とくに、しつこいくらいに読者にまとわりつくような、極端に主観によった心理主義的な独白・情景描写は、絶対女性にしか書けない種類のものだと思います。

もう少し端的にいうと女性特有の「狂気」を感じるんですね。

男性の書く怪奇小説やゴシック小説は確かにセンセーショナルではあるけど、ドロドロした心理描写の深みは今ひとつかな、と個人的に感じます。しつこさが無いというか。

「ゴシック小説」というジャンルの定義はなかなか難しくて論が別れるところだと思いますが、だいたい以下のようなガジェットが含まれていれば「これはゴシック小説だ」と言えそうです。

・怪奇趣味

・古い因習

・古い洋館

・歴史ある学院

・そこで巻き起こる恋愛模様

・あるいは愛憎劇

・あるいは殺人事件

・すねに傷ある登場人物たち

・館にまつわる謎

さらにジャンルを細分化すると

「ゴシックロマン」

「ゴシックミステリー」

「ゴシックホラー」

などに別れていきますが、いずれにせよ

・不穏で不気味な道具だてがあり、

・ストーリー全体を包み込む大きな「謎」があり、

・怪奇趣味的な雰囲気が醸し出されていて、

・ワクワクドキドキが楽しめれば、

「これはゴシック小説だね」

と言ってしまっていいかと思います。

それでは海外の女流作家による「ゴシック小説」のおすすめをどうぞ。

(あくまで個人的なおすすめです)




1.シャーリィ・ジャクスン『ずっとお城で暮らしてる』

シャーリィ・ジャクスンは大好きな作家で、

翻訳されたものはほぼすべて読んでいます。

「怪奇小説」あるいは「ホラー小説」、といったほうがニュアンス的に近いかも知れませんが、どの作品にもゴシック風の闇をまとったドロドロした雰囲気があって、粘着質な怖さが散りばめられていて最高なのですよ。

(*^▽^*)

最初に読むなら、この『ずっとお城で暮らしてる』と『丘の屋敷』という長編が読みやすくておすすめ。どちらも古びた大きなお屋敷(洋館)がストーリーの中心に存在します。

女性、あるいは少女期のドロドロモヤモヤした内面の描写がとにかく見事で、読んでいるうちに主人公が精神的におかしくなっても感情移入し続けられる、という危ないシンクロ現象が起こりますw

丘の屋敷』はあのスティーヴン・キングが「過去100年の中で最も素晴らしい怪奇小説だ」と絶賛したほどの名作です。

2.ジェーン・オースティン『ノーサンガー・アビー』

ジェーン・オースティンといえば恋愛小説の古典名作『高慢と偏見』が圧倒的に有名ですが、純粋にゴシックロマン的な要素を持った傑作も多いです。

そのひとつがこちら。

ノーサンガー・アビー 』!!

(*´▽`*)

舞台は19世紀イギリス。

主人公のキャサリンは17歳の世間知らずな女の子で、

彼女自身が「ゴシック小説の大ファン」なのです。

ここが重要で、ゴシック小説オタクなキャサリンが、社会に出て様々な出会いをしつつ、ゴシック的なフィクションの世界と現実世界とのあいだに折り合いをつけて女性として成長していく、というストーリー。

言わば夢想家な「夢見る少女」が大人になっていく喜びと痛みを、19世紀のゴシック的な背景の中で長々と描いていく、NHKの連続テレビ小説のような作品。

おどろおどろしいシーンはほとんど無いのに、ゴシックマニアなキャサリンの妄想のお陰で、何気ない日常の描写が途端に怪奇小説やロマン小説風になってしまうところが面白い。

素敵な殿方との恋やロマンスもふんだんに描かれているので、少女漫画やハーレクイン的な要素も多々あり、そういった「女性に向けた娯楽作品」の元祖的な物語と言えそうです。

ジェーン・オースティンはイギリスの児童文学作品にも大きな影響を与えている女性作家で、この「本好きで妄想好きで冒険に憧れる少女」というキャラクター像は後発の作品に幾人も登場しますね。

3.ジェーン・オースティン『マンスフィールド・パーク』

大好きなジェーン・オースティンからもう一作。

比較的オーソドックスなゴシックロマン小説の名作といえばこちら。

ノーサンガー・アビー 』はアンチ・ゴシック小説の要素があってメタフィクション的なひねりが効いていますが、こちらは余計なことを考えずに英国ゴシック的な雰囲気に包まれつつキャッキャウフフな恋愛物語がひたすら読める、まさに耽溺モノ。

暗い描写や怪奇趣味的なものが希薄で、楽しい恋愛群像劇、そして不幸だけど誠実な少女が幸せをつかむ古典的なシンデレラ・ストーリーとして楽しめます。

その手の小説が好きな方にはおすすめです。

古い小説なので、なるべく新しい訳文で読んだほうがいいと思います。

私は映画から先に入って、すっかり魅了されたクチです。

4.V.C.アンドリュース『オードリナ』

アメリカン・ゴシックの女王V・C・アンドリュースを読んだのは、この『オードリナ』が最初だったと思います。中学生の頃でした。

いやぁ痺れたね!

とにかく訳文が素晴らしい!

(*´▽`*)

思春期まっただ中のバキ子はドツボにはまりました。

人里離れた森の中に暮らす美少女・オードリナとその一家。まるで何かから隠れるような、ちょっと不自然な隠遁生活を描きつつ、その背後にある歪んだ秘密が徐々に明かされていく、というミステリーチックな筋立てです。

「ダークな少女小説」

という括りで言ったら文句なしの傑作。

現代的なゴシック・ロマンなので直接的というか肉感的な性描写が多く、多少グロいところもありますが(ようするにちょっとエッチです)、それも込みで面白い。

アンドリュース作品の多くは、なぜか日本だと絶版になっているものがけっこうあります。

どれでもおすすめなんですが、現在はなかなか手に入りづらいようですね・・・・

図書館で探してみてくださいw

5.ダフネ・デュ・モーリア『レベッカ』

海難事故で妻を亡くした貴族のマキシムに出会い、後妻に迎えられたわたし。だが彼の優雅な邸宅マンダレーには、美貌の先妻レベッカの存在感が色濃く遺されていた。彼女を慕う家政婦頭には敵意の視線を向けられ、わたしは不安と嫉妬に苛まれるようになり……。

現代ゴシック・ロマンの金字塔『レベッカ』の登場!

(≧◇≦)

1938年に発表されてから現在に至るまで、まったく色褪せない印象のショーケース(見本)のような極上のゴシック小説です。ミステリーとしても秀逸。

古いお城に迎えられた新妻・貴族でお金持ちの旦那様・メイド達の噂話・前妻の謎の失踪事件・・・・

ガジェットが!

ガジェットがアツい!

( *´艸`)

ダフネ・デュ・モーリアは非常に多才な女流作家で、短編も長編も戯曲も器用にこなす万能型。ついでに美人。

アルフレッド・ヒッチコックの映画『鳥』の原作者という顔もあったりして、存命中は引っ張りだこだったようです。

そういえばこの『レベッカ』もヒッチコックの手で映画化されていますね。

ヒッチコック映画の中でもトップクラスに面白いサスペンス映画です。

6.ケイト・モートン『忘れられた花園』

1913年オーストラリアの港にたったひとり取り残されていた少女。名前もわからない少女をある夫婦がネルと名付けて育て上げる。そして2005年、祖母ネルを看取った孫娘カサンドラは、祖母が英国、コーンウォールにコテージを遺してくれたという思いも寄らぬ事実を知らされる。なぜそのコテージはカサンドラに遺されたのか? ネルとはいったい誰だったのか? 茨の迷路の先に封印された花園のあるコテージに隠された秘密とは?

「デュ・モーリアの完璧な後継者」

と評されるオーストラリアの人気作家、

ケイト・モートン!!

\(゜ロ\)(/ロ゜)/

彼女は最高よ・・・・

最高よ・・・・

最高よ・・・・

好きすぎて新刊を今か今かと待っていますw

ケイト・モートンはいちおうミステリー作家と呼ばれていますが、雰囲気・背景・ストーリーの筋立てが完璧なまでに「ゴシック」しています。

現代を舞台にゴシック・ロマンとミステリーを融合させた小説を書かせたら、たぶん誰もかないませんね。

個人的にも、ここ数年でいちばん多く読んでいるミステリー作家さんです。

7.ケイト・モートン『リヴァトン館』

母とふたりのさみしい暮らしから、上流社会のメイドに。戸惑いつつも、優雅な生活と人々に惹かれていくグレイス。無邪気なお嬢様達、贅沢な料理、心おどる晩餐会…厳格な執事の小言も苦ではなかった。だが、迫りくる戦争で状況は激変する。慌ただしく月日は流れ、グレイスはリヴァトン館とともにたくさんの秘密を抱えこんでゆく。それが、大切なお嬢様をあの悲劇へ導く羽目になるとは知らず―。巧みな伏線と見事な筆致で世界中のミステリファンを魅了した物語。

ケイト・モートンの幻のデビュー作。

「リヴァトン館」という貴族のお屋敷で働くメイドが主人公のお話。

館!メイド!

(*^▽^*)

この作品も基本ミステリーなんですが、

語り口や設定がゴシックしていてたまりません。

往年のゴシック小説とは多少毛色が違って、もう少しポップな印象があり、若い読者にもおすすめです。訳文も読みやすくて素晴らしい。

現在絶版のようですね・・・・

8.イーディス・ウォートン 『幽霊』

アメリカを代表する女性作家イーディス・ウォートンによる、すべての「幽霊を感じる人」のための、珠玉のゴースト・ストーリーズ。静謐で優美な、そして恐怖を湛えた極上の世界。

ピューリッツァ賞作家であり、マーティン・スコセッシ監督の映画『エイジ・オブ・イノセンス』の原作者としても知られるイーディス・ウォートン。

アメリカの女流作家の歴史を辿れば、フェミニズムの文脈で必ず名前の上がる人ですね。

その作品のほとんどはゴシック小説ではないんですが、この『幽霊』という短編集だけは、純粋にエンタメ路線なゴシック・ホラーでわくわくドキドキ楽しめます。

納められた短編のほとんどがタイトルの通り「ゴースト・ストーリー」になっていて、日本の怪談話とは一味違った恐怖を味わえます。

9.エミリー・ブロンテ『嵐が丘』

ヨークシャの荒野に立つ屋敷“嵐が丘”。その主人が連れ帰ったヒースクリフは、屋敷の娘キャサリンに恋をする。しかしキャサリンは隣家の息子と結婚、ヒースクリフは失意のなか失踪する。数年後、彼は莫大な財産を手に戻ってきた。自分を虐げた者への復讐の念に燃えて…。

「世界三大悲劇」とも言われる、イギリスの古典名作。

女性作家の手による史上最高の愛憎劇

日本では今でも大人気で、よくドラマになっているので大体の筋立てはご存知の方も多いはず。愛し合う若い男女が身分の差によって引き裂かれ、男は復讐のために「金の亡者」となって戻ってくる・・・・こういう展開が好きなら是非一読を。

作者のエミリー・ブロンテは、小説家としてはこの一作だけを書き残し、翌年に30歳の若さで死去しています。

この一作に己のエネルギーを注ぎ込んだのでしょう。

10.エリザベス・ボウエン『パリの家』

「おすすめセレクション」と言いつつ申し訳ないのですが・・・・

エリザベス・ボウエンはハッキリ言って万人受けするとは思いません。

かなり好みが別れる作家ではないかと思います。

余計な説明を削ぎ落としたスタイリッシュな文体、独特なひねりを利かせた心理描写などが、純粋に「読みにくい」と感じる人も多いのではないかと推察します。

あと、どの訳文もゴツゴツしていてまったく読者フレンドリーな感じはありません。

スッと入って行ける人もいれば、途中で挫折する人もいるでしょう。

ですが、ホラーや幻想小説が好き、ゴシック小説が好き、ということであれば、一度は触れておきたいエポック・メイキングな小説家です。

私の個人的な感想ですが、慣れると非常にハマる作家。

ボウエンの作品を読んでいる時にしか感じられない、深い迷宮に入っていくような独特の没入感は凄まじい。時を忘れてしみじみと読書に浸れます。

個人的にも一番好きな長編小説『パリの家』が最高傑作と言われているようですが、いきなり長編はしんどい、という場合はこちらの短編集がオススメ。

けして読みやすくはないですが・・・・

本好きなら一度読んでみてもいいかもw

わりと上級者向けかも?

(;´∀`)

おすすめゴシック小説、いかがでしょう。

いかがでしたでしょうか!

(≧◇≦)

わりと鉄板の名作から、個人的に好きな「変わり種」まで集めてみました。

女性作家の描くゴシック世界は、女性特有のまとわりつくような粘着性が魅力です。

どれも定評のある作品なので、機会があったらぜひ手に取ってみてください。

(あまり海外ノベルを読み慣れていない、という場合は、やはりケイト・モートンから入るのがいいのではないかと思います。いちばん新しい作家なので)

はじめにも述べましたが、何をもって「ゴシック小説」とするかはなかなか判断が難しいところだと思います。

もしかすると人によっては「これは違うだろ!」と思われるものもあるかもしれませんが、個人のセレクトなのであまり目くじら立てずにお許しいただければと思いますw

それでは、素敵な読書ライフを。

(*´ω`)

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