昔から終末感の強いマンガや小説、
いわゆる
「終末もの」
「ディストピアもの」
が大好きです。滅びの美学とでも言うんでしょうか。
使われなくなった巨大な構造物・建築物・廃墟も好き。
二瓶勉さんの『BLAME!』とか『バイオメガ』とかツボなんですよね~
どうして好きなのかは自分でも分かりません。
ただ、子供の頃からほとんど宿命的に惹きつけられる世界観と設定です。
やっぱり幼いころに見ていた宮崎駿監督の『未来少年コナン』や『天空の城ラピュタ』の影響でしょうかねぇ・・・・
あまり胸を張って誇れる趣味ではないけど、たぶん同志は多いと思います。
(=゚ω゚)ノ
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そんな自分の嗜好を満たしてくれる新たな終末モノの傑作漫画に出会いました。
アニメ化もされた話題作『少女終末旅行』です!
廃墟をさまよう少女二人の探索記
『少女終末旅行』は簡単に言うと「女の子二人が、文明崩壊後の廃墟世界を旅する」だけの物語。登場人物は主に主人公のチトとユーリの二人だけ。
本が好きで知的好奇心に溢れるチト。
主に旅のリーダー役で、乗り物の運転、機械の操作などに長けています。
ただし運動は苦手。
チトの相棒のユーリ。明るいムードメーカー。
背が高くて運動神経がよく、主に肉体労働や小銃の扱いが得意。
考えるのは苦手で、本能に身を任せるタイプ。
でもたまに哲学的な名言を吐きます。
登場人物は彼女たち以外、ほとんど出てきません。
人類以外の生物は絶滅し、人類もほんのわずかだけ生き残っている状態。
誰もいない空間に、広大な都市だけが残されています。
非常に乾いた絶望的な世界。
旅の道中でさまざまな文明の痕跡を見つけることで、どうして世界が滅んだのかが少しずつ分かる仕掛けになっています。
(おそらく)量産型ロボット兵器。
ほかにも食料生成プラントや、かつて信仰を集めた宗教施設など、人類の過去の営みが垣間見えます。人類が滅んだ本当の理由は明言されず、そこが逆に読み手の想像力を刺激する漫画です。
終末世界で見つけた「幸福」と「生きる価値」
今までも「終末世界をサバイバルする」系の漫画はいくつか傑作がありましたが、この「少女終末旅行」はそういう漫画ともちょっと違うんですよね。
どちらかというと滅びゆく世界を受け入れて、淡々と旅をする感じのお話。
主人公の二人の少女に、「なにがなんでも生き延びる」という強い意思があまり感じられないんですね。
別に死にたがっているわけではないんですよ。
食べ物を探してさまよったり、飢えや寒さに苦しむシーンも多々あります。
でもそれよりも、二人は日常のやりとり・掛け合いを楽しんでいて、
それで十分に満ちたりているのです。
これが『少女終末旅行』という特異な漫画の肝なのでしょう。
読者は少女たちの他愛もない会話を延々と眺めているだけで、不思議と満ち足りた気分になってくるんですよね。同時に、この二人の行く末が気になってしまい、ついページをめくってしまいます。
なにしろ登場人物はほとんどこの二人だけ。
たまに第三者も登場しますが、あまり物語には深く関わってきません。
どこまでも続く巨大な廃墟都市の中を、少女たちは小さなクルマ(ケッテンクラートという軍用の小型戦車)に乗って、文字通り彷徨います。
「友情」という言葉だけでは収まらない、あまりに重いチトとユーリの関係性。
チトにはユーリしかいないし、ユーリにはチトしかいない。
ほかには誰も、自分を認識してくれる人間がいないんですよ。
こういうシチュエーションが自分の身に起きたらと思うと
すごくないですか?
環境がそうさせたとはいえ、この濃密な人間関係がちょっと羨ましくなりますね。
これが「人生の幸福」の最もコアで純粋な形なんじゃないかな、
と深く考えさせられてしまいました。
男女ペアではなく女同士、というところもミソですね。
恋愛とか子孫を残すとか、そういう未来の余地を残さないからこそ、余計に二人の絆が際立って輝くのです。
時にケンカしつつも、二人は仲良くじゃれ合いながら旅を続けます。
その果てにいったい何があるのか・・・・
ラストには深い感動が待っています。
リアル過ぎて涙が出ました。
(>_<。)
全六巻なのでイッキ読みがおすすめ。
今までありそうで無かった
ガチな終末設定+日常ほのぼの系の融合
を味わってみてください!!
アニメ版はプライムビデオで!
アニメから観たい、という人はこちら。
Amazonプライムビデオで全話視聴できます。
こちらも原作と甲乙つけがたい素晴らしいアニメーション。
よりリアルな背景で楽しみたい場合はアニメ版がおススメですね。
公式アンソロジーコミックも秀逸。
この公式アンソロジーもすごく素敵な、笑える(そして少し哀しい)作品集。
アンソロジーで、このクォリティはなかなか無いですね!
本編が気に入ったならこちらも是非堪能してください。
設定が特殊なシチュエーション・コメディなので、けっこうネタは思いつきやすいのかもしれませんね。
SF好き・廃墟好きに限らず、
ほのぼの日常コメディ系が好きな人にも絶対おすすめなので是非!
「ほのぼの」とかいいつつ、心に残る名作だと思います。
以上、『少女終末旅行』のレビューでした!
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