こんにちは、バキ子@bakikomanです。
今回は作家の村上春樹さんのエッセイについて紹介します。
「村上春樹の小説はよくわからん」とか「読んだことないんです」という方に向けての記事なので、ファンの方はいちいち読まなくて結構ですよー
(;^ω^)
毎年、ノーベル賞の発表時期になると騒がれている「村上春樹」。
読者か読者でないか、これだけ話題になる作家もいませんよね。
まるでキリストの信者をあぶり出す踏み絵のような雰囲気さえ出てきています。
別の例えをするなら、童貞/非童貞、処女/非処女というのと同じ感じ?
「おまえもうヤッた?」
というのと、
「おまえもう読んだ?」
というのが同じに聞こえます。
すごいですね、そこまでの雰囲気になっちゃうんだから。
別に小説なんて自分で好きなように読んだらいいし、
無理して読むものでもないと思うんだけど・・・・
でもたまに聞かれるんですよね。
「村上春樹の小説、読むならどれがいい?」って。
私自身はというと、真正の隠れキリシタンです。
もとい隠れ春樹ファンです。
(隠れているつもりはなくて、周りに同志がいないので話題にできないだけ)
でも「これから読みたいんだよね」と言われても困っちゃうんですよね。
「じゃあ読めば?」としかアドバイスのしようがない。
それで面白いと思ったら我々は仲間です。
肌に合わなかったらポイっと放り出せばいいだけのこと。
なにも無理することなんかありません。
まさか話題になってるから「自分も頑張ってファンになろう」とかそういうしょうもないことではないですよね?それって単なる全体主義的な奴隷体質ですよ。
でも純粋に興味を持って「これから読んでみようかな」という方は、ぜひこの記事を読んで参考にしていただければと思います。
村上春樹のエッセイや紀行文を読もう
「興味はあるけど、分厚い小説は敷居が高いなぁ」
という方には、エッセイと紀行文をおススメします。
村上春樹はもともと圧倒的に「読みやすい」ことに定評のある作家さんなので、小説よりも雑文のほうがさらに読みやすいし、理解しやすいです。
小説にもユーモアが溢れていますが、
村上春樹のエッセイはとにかく笑えます。
それもなんというか、
読みながら「ンフッ」とか「クックック」とかつい声が漏れちゃう面白さ。
旅先での失敗談や、ひどい目にあった話や、奥さんに怒られたり詰問されたり、エッセイの村上さんはとにかくズッコケでかわいい。
小説と違って緊迫した雰囲気はほぼ皆無で、リアルな一般男性の日常生活や旅行に同伴しているような感覚になります。
エライ小説家の先生ではなくて、
ただの「頼りなくて気のいいおじさん」という感じ。
私のなかではジャック・タチの映画「ぼくの伯父さん」 のイメージです。
ときには必死に小説のことを考えたり、創作法を語ったりするのもギャップがあってカッコいい。思わず「あ、ちゃんと仕事してたんだ、この人」と思ってしまいます。
そこまで読者に親近感を持たせてしまうっていうのも、テクニックとして凄いですね。
前置きが長くなってしまいました。
いくつか「読みやすい」おススメをラインナップしてみたのでどうぞ!
村上朝日堂はいほー!
せっかちで気が短い。占いには興味がない。最近の映画の邦題はよくないと思う。ときどき無性にビーフ・ステーキが食べたくなる。双子の恋人が欲しい。フィッツジェラルドとチャンドラーとカポーティが好き。この中で三つ以上思い当たる方は、誰でも村上ワールドの仲間です。はいほー!と軽やかに生きるあなたに贈る、村上春樹のエッセンス。安西水丸画伯のイラスト入り、全31編。
「村上朝日堂」は村上さんの初期の雑誌連載エッセイでたくさん出版されていますが、わたしはこの「はいほー!」がお気に入り。とぼけた味わいがたまりません。
ロックバンド「ドアーズ」のジム・モリソンについて書かれたクールなエッセイが集録されているんですが、すごくカッコいいです。
(ジム・モリソンのための「ソウル・キッチン」)
村上朝日堂はいかにして鍛えられたか
裸で家事をする主婦は正しいのか? あなたの空中浮遊の夢はどのタイプ? 読者から多数の反響を呼んだ「通信」シリーズを筆頭に、「真昼の回転鮨にしかけられた恐怖の落とし穴」「宇宙人には知られたくない言葉」から、苦情の手紙の書き方、学校の体罰の問題まで、世紀末の日本を綴ったエッセイを水丸画伯のイラストがサポートする、名コンビ「村上朝日堂」シリーズ最新作!
これも「村上朝日堂」シリーズです。
シリーズと言っても短めのエッセイですから、どこから読んでもいいし、興味の無いタイトルは読み飛ばしてもいい。
これが短編エッセイ集のいいところですね。
「べつにどっちでもいいんですけど、読みたかったら読んで」
という雰囲気が出ていて脱力する感じがいいですよ。
読みながら昼寝しちゃうのが一番いい楽しみ方です。
走ることについて語るときに僕の語ること
1982年秋、専業作家としての生活を開始したとき、彼は心を決めて路上を走り始めた。それ以来25年にわたって世界各地で、フル・マラソンや、100キロ・マラソンや、トライアスロン・レースを休むことなく走り続けてきた。旅行バッグの中にはいつもランニング・シューズがあった。走ることは彼自身の生き方をどのように変え、彼の書く小説をどのように変えてきたのだろう?日々路上に流された汗は、何をもたらしてくれたのか?
村上春樹が書き下ろす、走る小説家としての、そして小説を書くランナーとしての、必読のメモワール。
これは比較的、真面目な雰囲気のエッセイ。
長距離走と村上春樹は切っても切れない関係にあるわけですが、そのこだわりと情熱は凄いの一言。のめりこんだが最後、村上さんは自分が納得するまでその行為をやめません。
やっぱり尋常ではない「努力の達人」なんですね・・・・
自分なりの創作の秘密・極意を惜しげもなく披露してくれています。
遠い太鼓
ある朝目が覚めて、ふと耳を澄ませると、何処か遠くから太鼓の音が聞こえてきた。その音を聞いているうちに、僕はどうしても長い旅に出たくなったのだ――。40歳になろうとしていた著者は、ある思いに駆られて日本を後にし、ギリシャ・イタリアへ長い旅に出る。『ノルウェイの森』と『ダンス・ダンス・ダンス』を書き上げ、作家としての転換期となった、三年間の異国生活のスケッチブック。
これは海外滞在記、旅行記です。
80年代後半のヨーロッパの市政や庶民の暮らしぶりなんかも垣間見えて、面白いです。
鉄板の傑作「ノルウェイの森」や「ダンス・ダンス・ダンス」の創作過程・苦悩もちょっとだけ垣間見えてファンじゃなくてもわくわく読めるはず。
遠い異国での奥さんとの二人っきりの暮らしぶり、
なにげない会話にニヤニヤしてしまいます。
ていうか奥さんがすごく魅力的にエッセイに登場しますね。
奥さんのこともっと読みたい。
今でもたまにパラパラと拾い読みしてしまう一冊。
辺境・近境
久しぶりにリュックを肩にかけた。「うん、これだよ、この感じなんだ」めざすはモンゴル草原、北米横断、砂埃舞うメキシコの町……。NY郊外の超豪華コッテージに圧倒され、無人の島・からす島では虫の大群の大襲撃! 旅の最後は震災に見舞われた故郷・神戸。ご存じ、写真のエイゾー君と、讃岐のディープなうどん紀行には、安西水丸画伯も飛び入り、ムラカミの旅は続きます。
「ねじまき鳥」関連でモンゴルに行ったり、メキシコに行ったり、アメリカ横断したり、讃岐に行ったり、忙しく駆け回る紀行文集。
これもときどき、パラパラとつい読んでしまいます。
もしや讃岐うどんの全国ブームの火付け役は村上さんじゃないでしょうね?
そのくらい熱く讃岐うどんをレポートしています。
ムラカミワールドへようこそ。小説もぜひ~
比較的、とっつきやすいエッセイ・紀行文を並べてみました。
村上さんの文体にハマると、読むのがぜんぜん苦じゃなくなりますよね。
気に入ったらその勢いで小説にもチャレンジしてみてください。
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それでダメならエッセイだけ読むのもぜんぜんいいと思います!
読書なんて楽しければいいのだ。はいほー!