読まずに死んだらもったいない!【奇想現代文学ミステリ】エリック・マコーマック著「ミステリウム」の衝撃

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こんにちは、バキ子です。
 
今回は私のおススメ小説を徹底レビューします。
 
個人的に、マジで「読まずに死んだらもったいない一冊」です。
 
その一冊とは・・・・
 
 

 
エリック・マコーマック著、増田まもる訳
 
「ミステリウム」
 
 
 

 
という作品です!
 
ひと言で言えばミステリー小説。
 
でもそのひと言じゃ、この作品の凄さをぜんぜん表現できないんだよなぁ。
 
帯には「奇想現代文学ミステリ」と銘打ってありますが、それだけ聞いても「なんじゃそりゃ?」という感じですよね。字面のインパクトは大きいけど内容が想像しにくい。
 
出版社もジャンル分けする言葉が見つからずに相当苦労したってことなのかしら。
 
要するにちょっと「ジャンル分け不能」な小説なんですよ。
 
(^_^;)
 
でも傑作です!一度読んだら止まらない面白さ。
 
 

 自分の読みたい要素が詰まっている

 
誰にでも「出会えてよかった本」や「心のバイブル」はいくつかあると思いますが、
 
私が二十歳を過ぎてから一番衝撃を受けたのはこの物語でした。
 
自分のための小説なんじゃないかと思ってしまうくらい、しっくり来たんですよね。
 
 
もしあなたに「こういう物語が読みたい!」という確固たるビジョンがあったとして、それを過不足なく表現している小説に出会ったらどうなります?
 
 
相当嬉しいですよね?
小踊りしたくなりますよね?
何度でも読み返したいですよね?
 
 
私にとって「ミステリウム」はそういう作品です。
 
最初に読んでからもう5年も経ちますが、折に触れてパラパラと拾い読みする癖がついています。ミステリー系で、そんなふうに何度も読み返す小説は私にとっても稀です。
 
たぶん世界観と文章そのものが性に合うってことなんでしょうねぇ。
 
これは訳者の増田まもるさんの言葉のセンスも大きいと思います。
 
 
それでは少しだけ内容をご紹介します。
 

「ミステリウム」はこんなストーリー

 

 
作品紹介:
 
田舎の小さな炭鉱町、キャリック。
 
そこで謎の奇病によって住民が次々に死んでいくという事件が発生する。
 
その死に方は特殊で、誰もがある種の「多幸感」に包まれたまま死に至るという。
 
死の勢いは止まらず、住民はまたたく間に姿を消していく。
 
町は病原菌の拡大を恐れた政府によって厳重に隔離された。
 
やがて供述と状況証拠によって逮捕された町の薬剤師ロバート・エーケン
 
彼は薬剤師の知識を利用して、毒物を町に広めたのではないかと容疑をかけらていれる。
 
図らずも探偵役となった新聞記者見習いのマックスウェルは、行政官ブレアの求めに応じてキャリックの町で調査を開始、残された住人たちの聴取を進めるが、証言は互いにちぐはぐで、事件の謎は深まるばかり。
 
やがて浮かび上がるいくつかの事実から、キャリックの町全体にある大きな秘密があったことが明らかになる。
 
小さな田舎町の歴史に隠された秘密とは?
 
そして大量殺人鬼・エーケンの目的と真意とは―――?
 

 
 
どうです?ワクワクしませんか?
 
出てくるワードひとつひとつが既に面白そうな匂いがプンプンですよ。
 
「小さな炭鉱町」「奇病」「政府によって隔離」「大量殺人」・・・・
 
霧深い町の描写の美しさと、グロテスクな暴力表現、それに登場人物がときおり見せる異常性が、不気味な雰囲気を際立たせて絶妙。
 
「信頼できない語り手」エーケンの長い独白と、無垢な探偵役マックスウェルの実地調査を軸に、物語は虚実入り混じりながら、どんどん意外な方向へと進んでいきます。
 
犯人を追い詰めたり探したりするのかと思いきや、事件直前にキャリックの町で起きたある一連の騒動、さらに町の歴史と忌まわしい過去の事件が丁寧に語られます。
 
(特によそ者・カークと美女アンナのロマンス、それを密かに監視するエーケンの変質的な描写がたまらなくスリリング!)
 
それら一つ一つのエピソードも面白いんですが、どうやら全てが「町の崩壊」というフィナーレに繋がっているらしい。
 
この大きな「謎」に迫っていく筋道にとても納得感があって面白いんです。
 
町は急に廃れていくのではなく、いくつもの歴史が積み重なって、道理が絡み合って徐々に「死んでいく」のですね。ドミノ倒しのように。
 
読み進めていくと、キャリックという一つの小さな共同体が「死んでいく」道理を眺めているような気分になります。
 
 

「ミステリー」だけでは語れない奥深さ

 
途中から、「あれ?これ本当にミステリー?」と首を捻りました。
 
でも続きが気になってどんどん読んでしまい、途中から「ジャンル分けなんてどうでもいいや!」と開き直るしかないくらいに物語にのめり込みました。
 
読み終えてから、その疑問は確信に変わりました。
 
これは、ミステリーの要素を含んではいるけれど、ぜんぜん別の「なにか」を表現しようとしているトンデモナイ作品だと。
 
いい意味で騙されたっ!!!!
 
入り口と出口、そして基本の骨格は間違いなく『ミステリー』ですが、それはあくまで読者を引き付けるためにエンタメ的に体裁を整えたに過ぎないんじゃないか、という感触があります。
 
作者が本当に読者に見せたいのは、人間存在の不思議さ・おぞましさ・愛おしさ・・・・つまりはドラマなんだと思います。
 
それって、ある特定のジャンルに振り分けられるものなのでしょうか?
 
無理があるよね。
 
『ミステリウム』がジャンル分け不能だと私が思う所以です。
 
 

「ミステリウム」はハイブリットなちゃんこ鍋

 
いろんな要素を詰め込み過ぎて、焦点がぼやけてイマイチ面白くない作品も見かけますが、「ミステリウム」はそういう意味ではとてもバランスはいいです。
 
さまざまなエピソードに寄り道しているように見えて、結局はひとつの物語の幹に収斂していくんですよ。その風呂敷の畳み方も見事です。
 
ミステリー的・科学的なリアリズムと、幻想ホラーチックな非リアリズムがドロドロに絡まり合って、一つの物語の中で調和している印象。
 
さらに、主人公マックスウェルともう一人の探偵役・ブレア行政官との友情が静かに育まれていく描写も味があって素晴らしい。
 
この「ブレア行政官」というキャラクターがまた魅力的で、禁欲的で知的で精悍、滅多に笑わず、犯罪に対する知的好奇心のみを追い求めている人物。一見、単なる堅物に思えるんですが、年若いマックスウェルと会話を重ねることで、だんだんと心を開いて自分の生い立ちや内面を語りだすんですね。
 
読みながら、私は勝手にロシアの「プーチン大統領」の顔をイメージしていました。
 
映画になったらぜひプーチン氏にそっくりの役者にやってほしいキャラクターです。
 
 
 
うーん、好きなところがたくさんあって紹介するのが難しい!
 
とにかく手に取って最初の数ページを読んでいただきたい!
 
似た系統の作家を探すのは難しいですが、皆川博子や赤江瀑、江戸川乱歩、それにパトリック・マグラアあたりが好きな方はハマるんじゃないかと思います。
 
あえて言うなら奇想・幻想・ゴシックホラー・サイコミステリー・人間ドラマ・・・・
 
こういったワードのごった煮の傑作、と申し上げておきましょう。
 
鍋で言ったらハイブリットな「ちゃんこ鍋」ですね。
 
いろんな食材が入ってて、いろんな味が楽しめるのです。
 
ワクワクする不気味な話が読みたい方は絶対楽しめると思いますよ。
 
読まないと勿体ないから是非どうぞっ!!
 
 
 

 

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